晩ごはん作り。
それは難問でありながら避けては通れないもの。
「自分の身体は食べたもので出来ている」という言葉は、努力と工夫次第で未来は変われるという希望であり、何を選ぶかで今後の自分の人生が決まるという絶望でもあります。
そんな生きるにあたって大事な日々のルーティーン。
さて、今日は何を食べましょうか。
栄養のバランスが良く、美味しく、かつ簡単に作れる料理!
えぇ!…それ、むちゃくちゃ難問なんですけど…。
そんな難問に毎日挑んでいる私の奮闘の話をさせてください。
スーパーという名の巨大な迷路で、カゴを持って立ち尽くしていた頃
かつての私は、仕事帰りにスーパーへ立ち寄るたび、完全な「献立迷子」になっていました。
平日の夕方、すでに頭も身体もクタクタの状態でスーパーに入店。
「さあ、何を作ろうか」とカゴを手にした瞬間から、終わりなき脳内サバイバルが始まります。
まず野菜コーナーで「今日はキャベツが安いな」と立ち止まる。
でも、キャベツを使って何を作るかが思い浮かばない。
とりあえず保留にして精肉コーナーへ行くと、豚バラ肉が目に入る。
「豚肉とキャベツで何か炒める? でも味付けはどうする? 副菜は何にする? ていうか、家にポン酢あったっけ……?」
冷蔵庫の在庫の記憶はあやふや、スマホでレシピ検索を始めると候補が何万件も出てきてさらに脳がフリーズ。
鮮魚コーナーと精肉コーナーを何往復もし、青果コーナーに戻っては人参を手に取って戻し……。
決まらないからしんどい。
時間はどんどん溶けていく。
なのに、何も解決しない。
気づけばカゴに何も入らないまま、売り場を30分以上ウロウロして、ただただ疲弊するだけの悪循環。「私はいったい何を買えばいいの……?」と、パック肉の並ぶ冷蔵ケースの前で泣きそうになりながら立ち尽くしていました。
真面目に「身体にいいものを作らなきゃ」と思えば思うほど、選択肢の多さに脳がパンクして、料理を作る前から力尽きていたのです。
「1週間のまとめ買い」に挫折して見つけた、私のスタイル
世の中の時短術でよく見かける「週末に1週間分をまとめ買いして、計画的に献立を回す」という方法。私も挑戦してみたことがあります。
ノートに月曜から金曜までのメニューを書き出し、必要な食材をリストアップして買い込む。
……結果は、見事に惨敗でした。
週の半ばになると「今日は予定していたメニューの気分じゃない」「疲れていてこんな手のかかるもの作れない」と心が反乱を起こします。
何より、冷蔵庫を開けるたびに食材たちから「計画通りに早く作って!」と無言の圧力をかけられているような気分になり、かえって荷が重すぎて息が詰まってしまったのです。
きっちり計画を立てるのが心地いい人もいれば、それが重荷になる人もいる。
正解はひとつではありません。
私の場合は、「仕事帰りにこまめにスーパーへ寄り、その日その時の『あ、今日はこれが食べたいかも』という直感を拾ってあげる」スタイルのほうが、ずっと心が軽やかでした。
そこで、スーパーに立ち寄りつつも売り場で一切悩まないための「大きな枠組み(鉄則ルール)」を自分の中に敷くことにしたのです。
売り場を直進できる!メインを決める2つの鉄則
きっかけは、シニア世代にとってのタンパク質摂取の大切さを知ったことでした。
筋肉や身体の健康を維持するためには、肉も魚もバランスよく摂る必要がある。
それなら、選ぶ仕組みそのものをシンプルにしてしまおうと考えました。
メインは「肉」と「魚」を一日おきに交互にする
昨日は肉だったから、今日は魚のコーナーへ直行。
これだけで、スーパーに入った瞬間に選択肢が半分に絞られます。
精肉と鮮魚の間を行ったり来たりする不毛な往復が、完全にゼロになりました。
レパートリーは広げない。スタメンから選ぶだけ
「今日は何を作ろう」とゼロから考えず、あらかじめ決めた定番の中から選ぶだけにしました。
【魚の日(ほぼ2択)】
- お刺身(閉店間際のタイムセールでget!)
- 蒸し魚(買ってきた切り身の魚に塩して酒を振って蒸し器へgo)
【肉の日(お気に入りの定番ローテーション)】
- ピーマンの肉詰め(冷凍玉葱炒めを使用してビニール袋でモミモミ)
- 豚の生姜焼き(フライパンでお肉焼いたら黒砂糖とおろしショウガを後のせでお醤油ジャー)
- 蒸し鶏(鶏肉に塩麹を塗り込んで蒸し器におまかせ)
- 野菜炒め(焼肉のタレで炒めるだけ)
- 鶏手羽先と野菜のオーブン焼き(オーブン皿に塩糖水に漬けた鶏肉と各種野菜をぎゅうぎゅうにして焼く)
- 蒸ししゃぶしゃぶ(薄切り肉の下に野菜を敷いて蒸す)
- ニラとニンニクの餃子(冷凍してある刻みニラとにんにくでビニール袋モミモミ)
- 鶏手羽の無水カレー(ホットクックで自家製カレーキットを予約)
自分が好きで、確実に美味しく作れる定番に絞る。
「新しいレシピに挑戦しなきゃ」という見栄を手放しただけで、献立選びが一気に気楽になりました。新しいレシピは時間と気持に余裕のあるお休みの日だけ!
塩分を抑え、迷いをなくす「おかずとご飯の距離感」
シニア世代にとって、タンパク質と同じくらい切実なのが「塩分」の問題です。
一般的なレシピ通りに作ると、どうしても「ご飯が進む濃い味付け」になりがちです。
かといって、ただ薄味にするだけでは物足りなくて寂しい食卓になってしまいます。
そこで私は、「おかずとご飯を一緒に食べない」というルールにたどり着きました。
メインや副菜は、黒酢などの酸味や出汁の風味を活用して、「それ単体で食べてちょうど美味しく、ご飯が欲しくならない味付け」を意識します。
おつまみ感覚でおかずをじっくり味わい、野菜やタンパク質を先に身体へ届ける。
そして、食事の最後にようやくご飯の登場です。ご飯のお供は、納豆と決めています。
ここにもささやかな工夫があり、付属のタレは使いません。
代わりに塩昆布を混ぜ合わせます。タレの塩分を抑えつつ、海藻(「まごわやさしい」の「わ」)も一緒に摂れてしまう一石二鳥のアイデアです。
迷ったらこれ!野菜ときのこをモリモリ食べる「副菜の公式」
副菜の目的はとてもシンプル。「野菜、きのこ、海藻」をしっかり身体に取り入れることです。
ここでも難しい料理は目指しません。基本は「旬の野菜」をシンプルに調理するだけです。
(手間のかかる根菜類は蒸し物のとき玉ねぎスライスを具材の下に敷くか、週末に作り置きで使うようにしてます)
- 冬: 葉物野菜
- 夏: トマトやナスなどの形もの
- 通年: 豆苗、もやし、スプラウト
これらを茹でるか、蒸すか、炒める。
味付けも「おかかと黒酢」「粉チーズ+オリーブオイルを回しかける」「マヨネーズで和える」「もずく酢のパックにそのまま野菜を足す」といったシンプルな方法にしています。
そして副菜の大概にはすりごまもかけてしまいます(意外とオリーブオイルとごまもイケますよ)。
きのこ類は、炒めたり出汁やめんつゆでさっと煮て、冷奴や温めた厚揚げ豆腐にかければ立派な一品になります。
そして、どうしても疲れていて何も思い浮かばない日は、「レンチン+ツナ缶」の万能公式を発動します。
野菜ときのこを一口大に切って耐熱皿に入れ、電子レンジでチン。そこにツナ缶をオイルごと(または軽く切って)和えるだけ。
あとは気分に合わせて、3つの味付けに振るだけです。
・ごま油+黒酢を足す ➡️ 中華風
・オリーブオイルとレモンを足す ➡️ 洋風
・黒酢+薄口しょうゆorめんつゆ、それにわさび(または辛子)を足す ➡️ 和風
この公式さえ頭にあれば、冷蔵庫にある大体の野菜ときのこは、悩む暇もなくあっという間にごちそう副菜に化けてくれます。
脳のメモリを空けて、夕方の景色を変える
「肉と魚を交互にする」
「定番のスタメンから選ぶ」
「副菜は公式に当てはめる」
「おかずは単体で楽しみ、〆は塩昆布納豆」
この枠組みができてから、スーパーでの買い物は「30分の苦行」から「10分足らずの早業」でこなせることが多くなりました。
夕方、疲れて重たかった足取りも、「よし、今日は魚の日だから蒸すだけだな」「困ったらツナ缶があるし大丈夫」と思えるだけで、ふっと肩の荷が下ります。
私にとって、毎日のご飯作りで本当に疲れていたのは、手を動かすこと以上に、「何を作ればいいか分からない」という思考の重圧だったのだと思います。
凝ったごちそうを毎日作らなくても、「迷わない仕組み」で自分の身体と心をいたわるご飯は十分に作れる。
私なりの工夫です。
皆さんは毎日のごはん、どうされていますか?


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